保険戦略について

保険戦略とは、保険会社等から、自然災害等による保険金支払リスクを引受け、その対価である再保険料収入を収益源泉とする投資戦略(Catボンドや再保険契約等)を指します。 リスクは、自然災害等の発生による保険金の支払いです。Catボンドや再保険は、通常は外債や円債等の債券運用のような経済リスクを負うものではなく、災害リスクや損害リスク等を負います。 また、伝統的資産との相関が低いといった特徴があります。したがって、伝統的資産に保険リンク投資戦略を組入れることで分散投資効果が期待できます。


Catボンド投資戦略(GAM FCM Cat Bond)

主な投資対象はCatボンド(最低80%)で、その他としては比較的流動性のある保険関連商品(Industry Loss Warranty(ILW)、シニア債等)に投資します。 ネット期待収益率(2017年5月現在、ドルベース)*は3.5-4.5%、予測損失率は約2%です。


保険リンク投資戦略(Leadenhall Value Fund)

投資対象は再保険(担保付再保険、再々保険)、Catボンド、ILW、現金等です。主として再保険を中心(約60~70%)としたポートフォリオで、Catボンドは流動性を確保するために使用します。海上保険等の非自然災害を含む損害保険リスクのみで、生命保険リスクには投資しません。 ネット期待収益率(2017年5月現在、ドルベース)*は10-11%、予測損失率は約5%です。


保険リンク投資戦略(Leadenhall Nat Cat Focus Fund)

2017年1月、三井住友海上とMSアムリン社が中心となり、5千万ドルのシードマネーでスタートしたファンドです。バリューファンドは、海上保険等にも投資をしていましたが、投資対象を自然災害に絞った投資戦略です。投資対象は、バリューファンド同様に再保険や再々保険が中心で、他にCatボンド、ILWへの投資も行いますが、生命保険リスクには投資しません。 ネット期待収益率(2017年5月現在、ドルベース)*は7.5%、予測損失率は約3.5%です。
*注:災害等による損失または損失引当金がないと仮定。


再保険(担保付再保険)市場について

・再保険は相対取引
再保険の流通市場(セカンダリー・マーケット)はありません。保険会社と再保険の引受人が個別に交渉します。保険会社と再保険の引受人を仲介するのは再保険ブローカーです。再保険ブローカーは、ILS市場における資金の需要と供給などの市場動向や再保険投資の保険料率水準および再保険契約の発行体、再保険市場の状況に関し、多くの情報を持っています。
・再保険の評価
再保険の契約期間は通常1年です。 再保険には流通市場がないため、評価は原則、簿価に保険料のインカムを加え、さらに自然災害等の損害が発生した場合には、その保険金の支払いをマイナスして行います。


CATボンド戦略について

Cat Bond (キャットボンド)戦略とは主として「災害キャットボンド」に投資を行う、いわゆる「保険関連運用商品」です。保険関連運用商品は、価格変動メカニズムが株式や債券とは全く異なるため、運用パフォーマンスの相関性が株式とも債券とも極めて低く、分散投資の本来のニーズに非常に良くマッチした商品となっている点が大きな特徴です
この運用戦略の主たる投資対象である災害キャットボンドは、「保険リンク商品」のひとつです。「キャット(CAT)」は英語の破滅・破局の意を持つ「catastrophe(カタストロフィ)」という言葉からきています。自然災害に対する損害保険契約を有価証券(債券)に仕立て直したものが「災害キャットボンド」なのです。


CATボンド市場について

保険会社は、例えば「米国内におけるハリケーン災害をカバーする保険」を販売し、保険料収入を得るのが基本的な事業モデルですが、将来発生するかもしれない保険金支払いに対してヘッジを行います。ヘッジ手法の一つにはよく知られているように再保険契約がありますが、災害キャットボンドの組成・発行もまたよくおこなわれています。
通常、災害キャットボンドは3~5年満期の変動利付債として発行されます。災害がなければ通常の債券と変わりません。しかし災害キャットボンドには「自然災害発生」により元本毀損が発生する可能性があり、その分だけクーポンが高く設定されているのです。
災害キャットボンドはプライマリー・マーケットとセカンダリー・マーケットがあり、その点でも通常の債券と変わるところはありません。しかし、多くの場合、プライマリー市場で買い付けたものを満期まで保有するという投資スタイルが中心のため、結果的には債券の価格変動にはさらされにくく、基本的には、自然災害発生に伴う元本毀損が価値変動リスクとなります。その結果、価格の動きが株式や通常の債券とは相関性の低いものとなり、分散投資の効果を実現しやすいという効果をもたらします。



保険戦略についての参考資料

ニュースレター2013/12/19

ニュースレター2014/02/07

ILS(保険関連商品)の概要説明

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